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サル痘の流行?科学(的な雰囲気)で物事を推測する。

~サルとウメに思うこと~


 こんにちは。ここ最近、サル痘ウイルスが話題になっています。あまり馴染みのない名前のウイルスですが、私たちは普段どのような予防をすればよいのでしょう?


ある自治体のホームページでは、サル痘の予防方法として、


①感染者および有症状者の飛沫・体液等との接触を避ける

②石鹸やアルコール消毒剤を使用した手指消毒の徹底

③流行地ではウイルスを保有する可能性のあるげっ歯類等(リス・ネズミ・ヤマアラシ等)との接触を避ける


とあります。


基本的な感染防止対策の徹底が大事ということですね。


筆者としては、、、


①に気を付けていれば、基本的に恐れる必要はないと思っています。今回のサル痘の感染拡大では、感染者の多くが男性で、そのほとんどが男性同士の性的接触で起きているらしいです。無警戒でいるわけにはいきませんが、過剰に恐れる必要はないように思います。個人の感想ではありますが「身近ではないリスク」「避けられるリスク」だと思っています。


③は……かなり特殊な状況だと思います。


では、アシストメイクで取り扱っている除菌剤「ジクロメイト」は、サル痘にも効果があるのでしょうか?


ジクロメイト(錠剤)は水に溶かすと「次亜塩素酸水」という微生物やウイルスをやっつける効果のある溶液が作れます。


 著者(および著者の知り合い)は、サル痘ウイルスに対する次亜塩素酸水の効果を調べた論文や報告を、まだ見つけていません。研究中なのか、研究はされたけど未発表なのか、あるいは著者が見つけていないだけで、既に発表済みなのか。


 なので、ここから先は推論です。情報が少ないときは、推測しながら考えるしかありません。


 ウイルスは大きく「殻に覆われた構造のもの」と「殻に覆われていない構造のもの」に分けられます。「構造が似ているなら、性質も似た部分はある」という予想をしてもよいと思います。


 サル痘ウイルスは「殻に覆われた構造」です。インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスも、同じく「殻に覆われた構造」です。インフルや新型コロナは、アルコールなどの消毒薬に比較的弱いので、私たちは感染対策として手洗いや身の回りの物を消毒しています。これは、消毒剤が殻を壊してウイルスにダメージを与えるからです。


先ほど、サル痘の予防方法で「②石鹸やアルコール消毒剤を~」とありました。


つまり行政も「サル痘は、インフルや新型コロナと同じような構造なので、消毒薬に対しても同じような性質があるのでは?」と考えているのだと思います。


 そして次亜塩素酸水です。次亜塩素酸水はインフルや新型コロナをやっつけられます。ならば、サル痘にも効く可能性は高いのではないでしょうか。


 ……というのが、科学的な推測の仕方の一例です。そのうち科学者が論文などで発表してくれるでしょう。その論文の内容を、私たち一般市民が正しく理解できるかどうかは、日本の行政やマスコミのコミュニケーション能力に懸かっていますけれども。


 むしろ著者が最近気になっているのは梅毒の増加です。2021年の梅毒患者の報告数は、男女ともに2020年から400人くらい増えて、直近20年くらいでは過去最多の2,451件でした。男性は20~40歳代、女性は20歳代で特に増えているようです。偏見で語るわけにはいきませんが、マッチングアプリなどの影響はあるのかもしれません。


 そもそも梅毒は日本には以前からある病気です。治療法は確立されていますが、サル痘よりは身近なリスクのはずなのに、なぜあまり話題にならないのか不思議です。


 余談ですが、小説家・島田荘司さんの「毒を売る女」という短編集があります(99年初版)。私はこの短編集は「糸ノコとジグザグ」(漫画化もされた短編です)という作品を目的に読み始めたのですが、表題作「毒を売る女」にゾクゾクした覚えがあります。この作品こそが、私と梅毒の出会いであり、あの日から私は梅毒が怖くて怖くて仕方がないのです(苦笑


 明治時代の物理学者・寺田寅彦は「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」という言葉を遺していますが、怖いものは怖いのです。。。


夏の終わりに怖い話…という訳ではありませんが、参考にしていただけると幸いです。




ATP・迅速検査研究会 理事

(元月刊HACCP副編集長・元月刊フードケミカル副編集長)

立石 亘

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